高価な刃物でも、
刃物は研いで使う物
刃物を取り扱う以上、どの様な高価な刃物でも、安価な刃物でも、誰もが「切れ味」という問題に直面します。そこには刃物の性質や、性格、用途によって大きく違ってきます。同じ材料、同じ熱処理で造られた包丁でも、刃付けが良くなければ切れません。切れる包丁ほど、刃先角度が小さく、良く切れます。
また、使っているうちに刃先が徐々に磨耗し、丸くなっていくと「切れ味」が劣る訳です。年に一度は、プロの研ぎ師に研いでもらい、二ヶ月に一度はご自分で研げば、下手は下手なりに「切れ味」は回復します。
刃物のメンテナンス
長い間使った刃物には、大なり小なり仕事の跡が残ります。
炭素鋼素材の場合は、黒っぽいサビや、赤いサビが出る場合がありますが、黒いサビは包丁を傷める事はありません!赤いサビは包丁を傷めるので手入れが必要です。
- 野菜の根っこ(大根の切れ端)、スポンジ、布などにクレンザーを付けて包丁を磨く。大根は程良い水分を持ち、クレンザーと溶け合って研ぎ汁のようなものを形成する。また、大根の繊維が研ぎ汁を逃がさない働きをして良く磨けます。
- 磨き上げたら水洗いし、乾いた布で水をふき取る。
- 熱湯(ガスであぶっても良い)を包丁全体に掛ける。熱湯は蒸発して乾きやすい。その後乾いた布で拭きする。
- 長期間使わない場合は(出刃包丁とか柳刃包丁など)これに油を少しかけて柔らかい布で包丁の表面にすり込む。油は椿油などの植物性のものがいいです。
- 包丁を新聞紙(油紙が最適)で巻き、テープで止めて湿気の少ない風通しの良い所で保管する。
- ※和式の包丁で、柄の木口の部分がサビで膨らんでくると、柄が割れてきます。その場合は、包丁の差し込み口や、柄の隙間口にローソクのロウなどを塗り込んでおくと、水気の浸入がないので長持ちします。
砥石を使って自分で研いでみる
ステンレス包丁を使っている場合は、ステンレス用の砥石がお勧めです。そうでないと、包丁の方が硬くてなかなか研げないのに砥石ばかりが擦り減ってしまい、また新しいのを買わなくてはなりません。
実は、包丁を研ぐ職人も一般向けにはホームセンタで売っているような人造砥石を使っています。プロの場合は一度に何本もの包丁を研がなくてはならないので、品質が安定している砥石の方が効率が良いのです。天然砥石は高価な上に、天然ものなので、必ずしも研ぎ味の良い砥石に巡り合えるとは限らないですし、異物が混ざっていると刃がかけてしまうこともあります。どの砥石が合うかを試し、研ぎながら選んでいます。
- ご使用前に砥石を2~5分程度水に浸し、水を充分含ませてください。
- 濡れたふきんなどをご用意いただき、その上に砥石をしっかりと安定させて置いてください。
- 包丁を研ぐ間に、水をかけながら研ぐ為にボール等に水を入れておきます。
- 研いでいる間に出る「とぎかす」(ネバネバした砥泥)は研磨剤(研粒)が混入していますので、洗い落とさず順次水を補給しながら研いでください。(表面に水がたまる程度)
- 両刃の包丁の場合は包丁を研ぐとき、両刃の包丁は表(持ったとき外側になる面)、裏、同回数研いでください。
- 片刃の包丁の場合は片刃の包丁は、表面(持ったとき外側になる面)を主に研いでください。
- 研ぎあがると、刃先の裏側に「カエリ」(刃先に出る金属の薄いまくれ)ができます。裏側を2~3回軽く研いで、「カエリ」を取れば研ぎ上がりです。「カエリ」は触るとはっきりわかります。「カエリ」が取れにくい場合は、乾いた厚手の布で払い取ってください。また、「カエリ」の有無を調べるとき、指先を切らないようにご注意ください。
ご自身で研いでみても切れ味が変わらない場合や逆に切れ味が悪くなってしまった・・・などの場合はお気軽にご相談ください。込み合っていなければ研ぎ方のコツなどもご案内いたします。
また、不要になった刃物も随時無料にて回収しております。